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シンガポール在住の底辺現地採用のブログ。 雑感、旅行記、投資、日々の生活など気ままに書き綴ります。

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「終身雇用」は過剰な福利厚生なので消えていくし「年金制度」もないつもりで生きた方が良い。

どうも、シンガポール在住、底辺現地採用のXin(しん)です。

整理できないほど食事ネタや旅行ネタが溜まっているのですが、今回は自身が最近思うことを書きます。

最近このようなツイートをしました。

このツイートは以下のニュースを受けて書きました。

自動車業界トップも終身雇用の継続は難しいとの認識です。

 日本自動車工業会・豊田章男会長:「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」
 トヨタの豊田社長は業界団体のトップとして、終身雇用について「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」などと述べ、今のままでは継続は難しいとの認識を示しました。一方、中途や派遣の社員が増えているとして、「やりがいのある仕事に就けるチャンスは広がっている」と述べました。終身雇用を巡っては、経団連の中西宏明会長も「終身雇用なんてもう守れないと思っている」と発言しています。

「終身雇用守るの難しい」トヨタ社長が“限界”発言(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

 今回は、こんな風に考えるようになった自分の考えについて書きます。

終身雇用は元々は福利厚生だった?

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「そもそも終身雇用はいつ始まってん?」という事について。

現行の終身雇用制度が始まったのは戦後だけど、終身雇用制度のシステムは、1900-1910年に企業によって取り入れられていたそう。

当時は熟練工が高い給料を求め転職しまくる時代で、企業側が熟練工の転職を食い止めるべく採用したのが定期昇給&退職金制度。

戦前の終身雇用制度は、一企業の福利厚生にとどまっていたが、戦後の高度経済成長期とともに多くの大企業で終身雇用制度が採用、一般化していきました。

それに加えて労働者の解雇規制が始まり、ひとたび企業が労働者を採用すると、簡単に労働者を解雇できなくなりました。

これ、労働者からすると凄いメリットだと思います。とりあえず会社に就職できれば、こんな状態になるから。

  • 適当に働いてても簡単には辞めさせれない(=解雇規制制度)
  • パフォーマンスが悪くても定期的に昇給する(=定期昇給制度)
  • 途中で退職さえしなければ退職金が手に入る(=退職金制度)

戦後はとにかく労働力を投入すれば会社が儲かり、企業は労働者を取り合ってた時代。だから、上記のような終身雇用制度は時代に合ってたんだと思います。

しかし、バブルがはじけて景気が傾いてきた上に、効率の良い働き方をしないといけなくなった現代。終身雇用制度は単なる重荷にしかならない。

過去に雇った世代の終身雇用制度を維持するために、氷河期世代以降の人々が低賃金で非正規雇用として雇われてる、というのが今の現状ですよね。

終身雇用は過剰な福利厚生

当ブログでは何度も言及しているけど、日本人の強みでもあり弱みでもあるのは、日本人特有の異常なまでの完璧主義。そして当の本人たちが、その完璧主義がスタンダードだと勘違いしていること

思いつくものからざっと挙げると、このような完璧主義がある。

  • 電車の発着は常にオンタイム
  • 就職面接は黒のリクルートスーツ
  • オフィスワークの服装は常に正装
  • 女性は必ず化粧をして外出
  • 目上には必ず敬語を使用
  • 接客は直立姿勢で大きな声で行う

そして、その中の完璧主義の項目として「正社員として入社したら、終身雇用が当たり前」というのがあるんだと思う。

だけど終身雇用も含めこれらの事は、島国である日本だけで起こっているガラパゴス現象。海外では割と異常な事だったりする。

どんなに大企業な会社でも、その時々の経済状況によって業績は変わってくる。業績が良い時もあれば、リーマンショック級な経済危機が訪れて、会社が危機に陥るときもあるだろう。

それなのに「僕(私)の給料だけは常に定期昇給で、簡単には解雇しないでね、それでいて退職金もしっかりよろしくね」という終身雇用ほど虫のよい話はない。

巨大な資本を持つGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)が終身雇用制度を採用するなら話は別だけど、日本の普通の企業が採用するなんてリスクしかない。明らかに過剰な福利厚生で、会社への負担が大きすぎると思う。

シンガポールの年金制度(CPF)

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何となく終身雇用制度に似ているな、と自分が思っているのが日本の年金制度。

表面的な日本のサービス・慣習は完璧だけど、世代間で不公平になる日本の年金システムは将来を見据えた上では完璧じゃない。

リタイヤ世代が増えてくるにも関わらず、労働者人口が減っているので、日本の年金システムが崩壊しつつある、という事は説明するまでもないと思う。

自身が在住してるシンガポールの出生率は日本(現在約1.44)より遥かに低い。毎年シンガポールの出生率は世界最下位レベル。

合計特殊出生率は、タイが1.4(2013(平成25)年)、シンガポールが1.20(2016年)、韓国が1.17(2016年)、香港が1.21(2016年)、台湾が1.17(2016年)と我が国の1.44(2016年)を下回る水準となっている。

世界各国の出生率: 子ども・子育て本部 - 内閣府

しかしシンガポールの年金制度は「CPF=Central Provident Fund(中央積立基金)」と呼ばれていて、どんなに労働者人口が少なくなろうが、問題なく機能するようにできている。具体的には以下のような特徴がある。

  1. 対象は55歳以下のシンガポール国民&永住権保持者
  2. 月収の20%、被雇用者から17%、計37%が毎月CPF口座へ
  3. CPFは政府が運用して年利2.5~4.0%で回る
  4. 住宅購入、医療、教育などの費用に充てることができる
  5. 55歳になると引き出し可能(分割で貰うのが普通?)
  6. 分割で貰うと月額の金額は日本の年金より少なくなる?

世界恐慌でも起こらない限り、払った年金は必ずそれ以上の額で戻ってきそうなので世代間の不公平がない。自分もこれがしたくてシンガポール永住権を何度か申請したけど、残念な結果に終わっている。

シンガポール人は国の制度に依存し過ぎ

シンガポールの年金制度(CPF)のシステムはよくできているけどデメリットもある。

そのデメリットとは、CPFがよくできてるが故に国民がその制度に頼りすぎて思考停止してしまう、ということ。

シンガポール人でも先の事まで考えてる人は「CPFだけでは将来は不安」と何かしら貯金なりスモールビジネスなり投資なりしてるけど、「何とかなるでしょ」という感覚で過ごしているローカルも多い。

たとえば自分が投資信託や株式投資などを初めて、そのことを友人(大卒シンガポール人)に伝えると…「Wah, very dengerous! You are losing money.(うわ、危ない!お金損しちゃうよ)」という返事が返ってきたことがあった。日本人の感覚と同じで驚いた。

政府が優秀すぎるが故に国民が政府に負んぶに抱っこの状態である。自分はシンガポールに対してそんなイメージを持っている。

一方で、東南アジアの優等生であるタイは、福祉制度については非常に残酷だ。タイには年金制度そのものがない。だから、みんな老後に備え何かしらのビジネスをしないと将来のたれ死ぬ。

アメリカとイギリスの大学でホスピタリティーを学んだ自分の友人のタイ人女性も、普段はホテルでガツガツ働きつつ、パヤタでビラの運営している。彼女はビラのビジネスについて「これは私の老後の備え」と言っていた。

とはいえ、シンガポールでは、CPFで貰える月額年金が少なくとも、CPFを利用して国民は安い金額で住宅を購入できるし、そうした住宅を高値で貸し出しできる。

また、家族的な繋がりが深い中華系が7割を占めるシンガポールでは、子供が大きくなったら金銭的に親をサポートする事は一般的。息子・娘が援助してくれる額が、親同士のマウンティングのネタになったりする。

おまけに、シンガポールには日本のような相続税(最大50%近く)は存在しないので、親の資産はそのまま子供に引き継がれる。なので世代交代する度に、家の資産は増えていく(と思う)。

以上からシンガポール人は本当にのらりくらい生きてても、老後は大丈夫かもしれない。とりあえず優秀なCPF制度があるし、子供もいれば援助してくれるのがデフォルトなので。

だけど、崩壊しかけの年金制度しかない日本人はそうはいかない。

不便に慣れないと思考停止する

今の働き盛りの世代である20~30代の親世代は年金をきちんと貰えているため、そういった年齢の人は「自分もいつかは同じように」と思わされるかもしれない。

就活を控えている大学生や、就活中の第二新卒生も、終身雇用×厚生年金で将来安泰するため正社員を目指している、という人も少なくないかもしれない。

だけど、いまの日本の現状をガン無視して「過剰な福利厚生である終身雇用」と「何となく貰えると信じてる年金」のため、正社員を目指すだけ、或いは正社員になって働くだけ、なのは危険だと思う。

終身雇用制度は確実に終わりつつあるし、年金もシンガポールのCPFほど制度がしっかりしてないから。

ただでさえ少子高齢化で国内経済が悪化している上に、天下り先がどんどん増えて、国民のお金が吸い上げられていく。そんな状態なのに「支払った金額よりも多くの年金が老後支給される」なんてあり得るはずがない。

日本国内で働くなら基本的に年金負担は避けられないけど「年金は募金」という感覚で支払っていた方が良いと思う。それさえも嫌なら、住民票を抜いて海外へ就職すればいい。

住民票を抜いて海外就職しても現地での納税義務は生じるけど、香港やシンガポールなどのタックスヘイブンなら、税金は日本と比べて非常に安く貯金もしやすい。

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日本のサービスレベルはクソ高い。料理のクオリティは高いし、トイレのウォシュレットは快適だし、コンビニの接客はロボットみたいだけどクソ丁寧。

だけど日本で育った人は、そのサービスレベルがデフォルトとなっているため「終身雇用(=勤務先のサービス)」や「年金制度(=国のサービス)」についても…

  • 会社勤めなんだから終身雇用が当たり前、会社の財政状況?そんなん知らん。
  • 年金納めてるんだから将来年金貰えて当たり前、国家財政?そんなん知らん。

という思考になってるんじゃないかな、という気がする。

大手で正社員になれば取り合えず安心。公務員として就職できれば取り合えず安心。国家の下で、年金を収めておけば取り合えず安心。そんな「完璧な世界」はこの世に存在しないと思う。

ブログでも、Youtubeでも、投資でも何でもいい。誰もが、いつ急に仕事がなくなっても、いつ急に体が動かなくなっても、十分生きていけるだけの蓄えやキャッシュフローは準備しておく必要があると思う。