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シンガポール在住の底辺現地採用のブログ。 雑感、旅行記、投資、日々の生活など気ままに書き綴ります。

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香港のコンクリート職人は日給3万。香港の建設業の担い手がいないため給料が高額になっているらしい。

2ヶ月ほど前、香港へ3泊4日の弾丸旅行へ出かけた。現地のローカル香港人と言語、人種、教育、人々のものの考え方など色々と様々なことについて話し合った。中でも最も印象に残った話題があるので共有したい。その話題とは香港のブルーワーカーついて。

低賃金外国人労働者に頼っているシンガポールの単純労働

シンガポールでは、建設作業員や工場作業員はインド、バングラデシュ、スリランカ等からの外国人労働者で成り立っている。1、2年程度の契約の仕事で、月収は残業代を含めてもSGD700.00~900.00(約5万5千円~7万円)といったところ。

しかしシンガポールで最も高くつく住居は無料。雇用主がドミトリーを提供してくれる。また彼らの国とシンガポールでは物価に大きな開きがあるため、シンガポールにやってきた単純労働者は比較的満足しているんだとか。

何れにしても、単純労働は、シンガポールでは低賃金で途上国からの外国人労働者に押し付けられているのが現状。公用語が英語、人口の4割が外国人で成り立つシンガポールならではかもしれない。

香港の建設作業員(未経験)の手取り月収の概算は?

一方、香港では、家事労働以外の単純労働は香港人で回されているようだ。意外にも香港の外国人比率は1割にも満たない(→情報は古いですが2001年、2006年及2011年按國籍劃分的人口より)。

香港もシンガポールに同様にメイド(月約4~6万円の住み込み)がいて、建設作業員や工場作業員についても同じだと思っていたため、この事実には驚いた。

しかも、月収はエントリーレベルではホワイトカラーのそれよりも高い。話を聞いた香港人によれば、香港では教養や技術を必要としない単純労働は誰もやりたがらないから給料が高くなるのだそうだ。

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実際に香港で募集されていた求人例(情報は古いですが2013年の記事Hong Kong’s labor shortage means $140-a-day construction jobs and waiters with benefitsより)。

ウェイター、ウェイトレス

月収:USD2000.00(投資会社のアソシエイト職種と同等)

福利厚生:医療、歯科、生命保険、教育補助、会社休暇など。

コンクリート職人(未経験可)

日給︰HKD1,100.00(現在のレートで約USD142.00)

1日8時間、1ヶ月に20日だけ働いたとしても月収HKD22,000(現在のレートでUSD2,835.00)。

何れもエントリーの際は技術も何も必要ない求人。独身、ボーナスなし、控除なしと仮定して、上記コンクリート職人の月収をもとに所得税と計算したところ、1年に掛かる所得税はHKD14,520.00(現在のレートで約USD1,871.00)となった(計算には計算結果 | 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NETを利用)。所得税を12等分して毎月の負担分がHKD1187.00、月収の5%を積み立てる香港の年金制度のようなMPFをHKD1,100.00払ったとしても、毎月HKD19,000.00(約USD2,448.00)は手取りとして入ってくることになる。全産業の香港の平均月収はHKD15126(USD1,949.00)と比較しても遥かに高い月収だ。

賃上げされる香港の建設労働者の給料

2015年10月27日のChina Daily Asiaの記事によれば、香港の建設労働者の約20万人の月収が10%あがる予定とされていた。記事内の具体的な職種の予測月収は以下の通り。

・型枠職人:17%増しで日給HKD2,050(USD264.00)

・コンクリート職人:15%増しで日給HKD2,300(USD296.00)

・鉄筋工職人:12.9%増しで日給HKD1,930 (USD248.00)

天井貼り職人を除いて、香港内の建設作業員の日給は、少なくともHKD1,100.00以上。やはりこの金額は香港の建設業の最低日給なようだ。

賃上げされる背景について、香港で建設労働市場の需要が供給を大きく上回っているという事があげられる。香港では大量のインフラ計画がスタートし、建設業の需要がピークに達するが、建設業に参入する若者が著しく少なく労働力の減少が見込まれる。香港内の建設業従事者は全体で約36万人。そのうち43%以上が50歳以上。30歳以下の労働者はたったの15%。

香港の若者は高学歴化、ホワイトカラー志向で、建設業に見向きもしないのだろう。建設業の不人気については、日本も同じ。しかし給料だけ随分と違う。香港の建設業の給料は高額だ。

高額な金額で工事を受注しても、一次受け、二次受け、三次受けと多重構造で給料がピンハネされる日本のような状態。このような事は香港では起こっていないんだろうか(起こるには香港は小さすぎる?)。もし、下請け制度などなければ、相次ぐ大震災と2020年の東京オリンピックの需要で、日本の建設作業員の給料も大幅に上がっていたのかもしれないと思うと、やるせない。

昔から「大工殺すにゃ刃物はいらぬ、雨の3日も降ればよい」とは良く言うけど、香港の大工には当てはまらなそう。香港の大工さんは政府から大切にされていそうだ。